看護師の夢道半ば…米短大の友人ら奔走

米国カリフォルニア州の短大に留学中、難病で22年の生涯を閉じた日本人女子学生の名前を付けた奨学金制度が作られ、この春から支給が始まる。

「エンゼルマヤ」の愛称で親しまれた女子学生。看護師を目指しながらも卒業間近に亡くなった級友の遺志を引き継ぎ、友人らが奨学金の創設にこぎ着けた。

千葉市出身の大内麻耶さん。中学生の時、副甲状腺ホルモンの分泌が低下する難病と診断され、投薬治療と毎月の検査入院を余儀なくされた。

激しい頭痛や嘔吐、体のだるさと闘いながらも、高校3年生の時、「好きな英語を身につけたい」と決意して米国の高校に留学。2006年1月、サンフランシスコ短大に入学した。難病と向き合ううちに医療に関心を持つようになり、3年間の准看護師コースに進んだ。

しかし、副腎不全を起こす恐れがあるため、薬の服用が欠かせない。症状が悪化したのは卒業式を2日後に控えた08年12月。「最後の試験に出られない」。電話で連絡を受けた級友がアパートを訪ねると、大内さんはベッドのそばでうつぶせになって亡くなっていた。突然死だった。

「麻耶のために何かできないか」。級友や恩師が話し合った末、麻耶さんの名前を「マヤ・オオウチ・メモリアル奨学金」として残すことになった。09年5月に短大事務局に創設を申請し、承認を得た。

奨学金の受給対象者は、麻耶さんと同じ准看護師コース専攻の外国人留学生。既に麻耶さんの友人や短大教授らから2000ドル以上の寄付が集まった。4月に受給者2人を決め、年間各250ドル(約2万3000円)の奨学金を支給する。今後も寄付を募る予定だ。

同短大のバーバラ・B・エリオット教授は「マヤは模範的な学生で、級友に良い影響を与えてくれた。奨学金が外国人学生の助けになれば」と期待する。母親の恵子さん(55)は、「娘が頑張って生きた証しが残りました。立派な看護師になってほしい」と願っている。

米国大学スカラーシップ協会日本事務局(東京)によると、寄付者の名前を付けた奨学金は珍しくないが、日本人学生の名前を冠した奨学金は聞いたことがないという。

(2010年3月15日 読売新聞)